まだ間に合う!新リース会計基準の適用準備ガイド|システムへの影響と実務フローまとめ

    株式会社プロシップ

    2019年から順次適用が開始された新リース会計基準への対応は、もはや待ったなしの経営課題です。「何から手をつければよいか分からない」「自社への影響が不明確」といった経理・財務担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、新リース会計基準の基本から、財務諸表や実務フローへの具体的な影響、そして今からでも間に合う適用準備の5ステップまでを網羅的に解説します。結論として、新基準対応を成功させる鍵は、対象契約の正確な把握と、Excel管理の限界を超えたシステムによる効率的な資産管理にあります。この記事を読めば、複雑な新基準を正しく理解し、貴社の対応準備をスムーズに進めるための具体的な道筋が見えるはずです。

    目次

    まずはここから 新リース会計基準の基本を理解する

    新リース会計基準:オンバランス化のイメージ 従来基準 (賃貸借処理) 貸借対照表 (B/S) ファイナンス・リース オペレーティング・リース (不動産賃貸・カーリース等) ▼ B/Sに計上されない (オフバランス) 2026年度〜 新リース会計基準 (売買処理) 貸借対照表 (B/S) ファイナンス・リース オペレーティング・リースも 「使用権資産」「リース負債」 として計上 ▲ すべてB/Sに計上 (オンバランス) ! ポイント:従来は経費処理していた「借りている資産」も、資産・負債として見える化されます。

    2026年度からの適用が迫る「新リース会計基準」。経理・財務部門の担当者様にとっては、対応準備が急務となっています。この変更は、単なる会計処理の変更にとどまらず、財務諸表や経営指標、さらには業務フローやシステムにまで広範な影響を及ぼします。しかし、その本質を正しく理解すれば、決して対応が難しいものではありません。本章では、新リース会計基準の最も基本的な部分である「目的」「従来との違い」「適用対象」を分かりやすく解説します。まずはここから、着実な一歩を踏み出しましょう。

    新リース会計基準とは何か 目的と背景を解説

    新リース会計基準とは、日本で公表された企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」および関連する適用指針の改正を指します。この改正の最大の目的は、国際的な会計基準(IFRS第16号「リース」)とのコンバージェンス(収斂)です。海外の多くの国ではすでに同様の基準が導入されており、グローバルで事業を展開する日本企業にとって、国内外の財務諸表の比較可能性を高めることが不可欠となっていました。

    この基準改訂が目指すのは、財務諸表の透明性を向上させることです。従来、多くの企業で「オペレーティング・リース」として貸借対照表(B/S)に計上されていなかったリース契約が、実質的には設備投資と同様の経済的実態を持つにもかかわらず、簿外取引(オフバランス)となっていました。これにより、投資家や金融機関などの利害関係者が、企業の真の財政状態や債務状況を正確に把握することが困難でした。新基準は、こうした簿外のリース債務を可視化し、企業の実態をより正確に財務諸表へ反映させることを狙いとしています。

    従来との違いはどこか オンバランス化のポイント

    新リース会計基準における最大の変更点は、借手の会計処理において、原則としてすべてのリース契約を資産・負債として貸借対照表(B/S)に計上する「オンバランス化」が義務付けられることです。従来は「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類し、後者は費用処理のみで資産計上は不要でした。しかし、新基準ではこの区別が撤廃され、単一の会計処理モデル(使用権モデル)が採用されます。

    従来基準と新基準の主な違いを以下の表にまとめました。

    項目 従来基準 新基準
    リースの分類(借手) ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類 原則としてすべてのリースを単一モデルで会計処理(分類の廃止)
    B/Sへの計上 ファイナンス・リースのみ資産・負債を計上(オンバランス)。
    オペレーティング・リースは計上不要(オフバランス)。
    短期リース・少額リースを除き、原則すべてのリースで「使用権資産」と「リース負債」を計上(オンバランス)
    P/Lへの計上 ファイナンス・リースは減価償却費と支払利息を計上。
    オペレーティング・リースはリース料を費用として計上。
    原則として「減価償却費」と「支払利息」を計上。
    例外規定 特になし リース期間が12ヶ月以内の「短期リース」や、重要性が乏しい「少額リース」については、簡便的な会計処理(費用処理)が認められる。

    このように、これまで費用として処理していたコピー機のリースや社用車のカーリースなども、原則として資産と負債の両建てで計上する必要が出てきます。これが「オンバランス化」の具体的な意味であり、新基準対応における最も重要なポイントです。

    いつから適用?対象となる企業とリース契約

    新リース会計基準の適用時期と対象は、以下の通り定められています。

    適用開始時期

    新リース会計基準は、原則として2026年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されます。例えば、3月決算の企業であれば、2027年3月期の期首(2026年4月1日)から適用開始となります。ただし、準備が整った企業は、2026年3月31日以前に開始する年度からの早期適用も認められています。

    対象となる企業

    適用対象は、金融商品取引法の適用を受ける上場企業とその連結子会社、および会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)です。これらに該当しない非上場の中小企業については、現時点では強制適用の対象外ですが、親会社が適用対象である場合は、連結決算のために同様の会計処理を求められる可能性があります。また、将来的な適用拡大の可能性も考慮し、動向を注視することが賢明です。

    対象となるリース契約

    新基準では、「資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約または契約の一部分」がリースと定義されます。この定義に基づき、契約書に「リース」という文言がなくとも、実質的に資産の支配が移転していると判断される契約はすべて対象となります。例えば、特定の倉庫スペースやデータセンターのサーバーラックを専有的に利用する契約なども、リースに該当する可能性があります。そのため、まずは自社に存在するすべての契約を洗い出し、「リースに該当するか否か」を識別する作業が最初の重要なステップとなります。

    企業に与える影響は?財務と業務へのインパクト

    新リース会計基準:財務と業務へのインパクト 貸借対照表(B/S)の変化 従来 資産 負債 純資産 新基準 使用権資産 資産 リース負債 負債 リース負債 オンバランス化 総資産・総負債が増加 自己資本比率は低下 損益計算書(P/L)の変化 期間 費用 従来:賃借料(定額) 減価償却費(定額) 支払利息(減少) 費用計上が「前倒し」に 営業利益への影響 支払利息は「営業外費用」へ → 営業利益は見かけ上増加

    新リース会計基準の適用は、単なる会計処理の変更にとどまらず、企業の財務諸表や日々の業務に大きな影響を及ぼします。特に、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティング・リースを多用してきた企業にとっては、そのインパクトは甚大です。ここでは、具体的に「財務」と「業務」の2つの側面から、どのような変化が起こるのかを詳しく解説します。

    貸借対照表(B/S)への影響 使用権資産とリース負債

    新リース会計基準における最も大きな変更点は、原則としてすべてのリース契約を貸借対照表(B/S)に資産・負債として計上する「オンバランス化」です。これにより、企業の財政状態の透明性が高まります。

    具体的には、借り手はリース契約について以下の2つをB/Sに計上する必要があります。

    • 使用権資産:リース期間にわたって原資産を使用する権利を「資産」として計上します。
    • リース負債:未払リース料総額を現在価値に割り引いた金額を「負債」として計上します。

    この変更がB/Sに与える影響を、従来のオペレーティング・リースの会計処理と比較してみましょう。

    項目 従来(オペレーティング・リース) 新リース会計基準
    資産の部 計上なし
    (B/Sに表示されない)
    使用権資産を計上
    負債の部 計上なし
    (B/Sに表示されない)
    リース負債を計上

    この結果、総資産と総負債が同時に増加するため、自己資本比率(自己資本÷総資産)は低下し、負債比率(負債÷自己資本)は上昇する傾向にあります。特に、店舗や設備などをリースで多数展開する小売業、航空機リースが一般的な航空業界、トラックや倉庫などを利用する運輸・物流業界などでは、財務指標が悪化する可能性があり、金融機関からの借入契約における財務制限条項(コベナンツ)に抵触しないか、事前の確認が重要となります。

    損益計算書(P/L)への影響 費用計上の仕組み

    損益計算書(P/L)における費用の計上方法も大きく変わります。従来は、支払リース料を定額で費用計上していましたが、新基準では費用を「減価償却費」と「支払利息」の2つに分けて計上します。

    • 減価償却費:資産計上した「使用権資産」を、原則としてリース期間にわたって定額法で償却します。販売費及び一般管理費などに計上されます。
    • 支払利息:負債計上した「リース負債」の期末残高に、リース契約に設定された割引率(利子率)を乗じて計算します。営業外費用に計上されます。

    この仕組みにより、費用の総額は変わりませんが、その計上タイミングが変化します。支払利息は負債残高の大きいリース期間の初期に多く計上され、期間の経過とともに減少していきます。そのため、減価償却費と支払利息を合計した費用総額は、リース期間の前半に厚く、後半に薄くなる「前倒し」の傾向を示します。

    項目 従来(オペレーティング・リース) 新リース会計基準
    費用項目 支払リース料(販管費など) 減価償却費(販管費など) + 支払利息(営業外費用)
    費用計上パターン リース期間を通じて均等(定額) リース期間の前半に大きく、後半に小さくなる(逓減)
    営業利益への影響 支払リース料の分だけ減少する 支払利息が営業外費用となるため、従来よりも営業利益が大きく計上される

    また、支払利息が営業外費用として扱われるため、営業利益やEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)は、従来よりも増加する効果があります。これは一見ポジティブな影響に見えますが、一方で経常利益や当期純利益は期間前半において圧迫される可能性があるため、業績評価や予算策定の際にはこの構造変化を正しく理解しておく必要があります。

    経理の実務フローはどう変わるか

    新リース会計基準は、経理部門の実務フローにも大きな変革を迫ります。主な変更点は以下の通りです。

    1. リース契約の網羅的な把握と管理

    これまでは管理対象外であったオペレーティング・リースも含め、本社だけでなく各支店や部署が個別に契約しているものまで、全社に散らばる全てのリース契約を網羅的に把握する必要があります。契約書を収集し、リース期間、リース料、更新オプションや解約オプションの有無といった詳細な情報を一元管理する体制の構築が急務となります。

    2. 複雑な計算業務の発生

    会計処理のために、以下のような複雑な計算が新たに発生します。

    • リース料総額からリース負債を算定するための「割引率」の設定と「現在価値」の計算
    • 使用権資産とリース負債の当初認識時の計上額の計算
    • 毎期の減価償却費と支払利息の計算
    • リース条件の変更や重要な事象が発生した際の再測定(リメジャメント)計算

    これらの計算は非常に煩雑で、特に多数のリース契約を抱える企業が表計算ソフト(Excelなど)で手作業管理を行う場合、入力ミスや計算式の誤り、バージョン管理の失敗といったヒューマンエラーのリスクが飛躍的に高まります。

    3. 仕訳処理と注記情報の複雑化

    仕訳処理は、従来の単純な費用計上から、資産・負債・減価償却費・支払利息などが絡む複雑なものに変わります。また、財務諸表の注記情報として、使用権資産やリース負債の内訳、増減額、将来のリース料支払額など、開示が求められる項目も大幅に増加します。これらの情報を正確に集計し、開示資料を作成するための業務負荷が増大します。

    まだ間に合う!新リース会計基準の適用準備5ステップ

    新リース会計基準 適用準備5ステップ 1 対象となるリース契約の洗い出しと管理 全契約からリース該当性を判定し、管理台帳を作成する 2 リース期間とリース料総額の算定 延長・解約オプションや変動要素を考慮し、将来CFを見積もる 3 使用権資産とリース負債の計算方法 借手追加借入利子率などの割引率を用いて現在価値を算出する 4 会計方針の決定と開示準備 免除規定の適用有無を決定し、注記に必要なデータを収集する 5 業務フローと社内規程の見直し 恒久的な運用体制を構築し、関連部署への周知・教育を行う

    新リース会計基準の適用は、経理部門だけでなく全社的な対応が求められます。しかし、正しいステップを踏めば、今からでも十分に間に合わせることが可能です。ここでは、実務に即した具体的な準備手順を5つのステップに分けて、わかりやすく解説します。

    ステップ1 対象となるリース契約の洗い出しと管理

    適用準備の第一歩は、自社に存在するすべての契約の中から、新基準の対象となる「リース契約」を漏れなく特定することです。これまで費用として処理していた賃貸借契約なども対象に含まれる可能性があるため、注意深く確認する必要があります。

    まずは、経理部門が管理する契約台帳だけでなく、総務部が管理するオフィス賃貸借契約、IT部門のサーバーレンタル契約、営業部門の車両リース契約など、各部署で個別に締結している契約情報をすべて収集しましょう。

    次に、集めた契約の一つひとつについて、新リース会計基準の定義に基づき「リース」に該当するかどうかを判定します。判定の主なポイントは以下の2点です。

    • 特定された資産の存在:契約の対象となる資産(例:特定の部屋、特定のシリアル番号のコピー機など)が物理的または契約上、明確に特定されているか。
    • 使用の支配:契約期間にわたり、その特定された資産の使用から得られる経済的便益のほとんどすべてを享受し、かつ、その資産の使用を指示する権利(どのように、何のために使用するかを決定する権利)を有しているか。

    この判定作業は、契約書の内容を精査する必要があるため、法務部門などとも連携しながら進めることが重要です。また、新基準では、実務上の負担を軽減するための免除規定が設けられています。

    リース判定と免除規定の適用
    項目 内容 実務上のポイント
    短期リース リース開始日時点でリース期間が12ヶ月以内のリース。 購入オプションが含まれる場合は対象外となる可能性あり。会計方針として適用を選択した場合、対象のリースは費用処理が可能。
    少額リース 原資産が少額(IFRSでは例として5,000USドル以下)であるリース。 リースごと個別に判定。企業の規模や性質に関わらず絶対額で判断する。こちらも会計方針として適用を選択できる。

    洗い出した対象契約は、今後の計算や管理の基礎となるため、契約内容(契約相手、対象資産、契約期間、リース料など)を一覧化した管理台帳を作成することが不可欠です。Excelでの管理も可能ですが、契約数が多岐にわたる場合は、専用のリース資産管理システムの導入も視野に入れると良いでしょう。

    ステップ2 リース期間とリース料総額の算定

    対象となるリース契約を特定したら、次に会計処理の基礎となる「リース期間」と「リース料総額」を契約ごとに算定します。これらは従来よりも詳細な検討が必要となるため、慎重に進めなければなりません。

    リース期間の算定

    リース期間は、単に契約書に記載された「解約不能期間」だけではありません。借手が延長オプションを行使することが合理的に確実か、あるいは解約オプションを行使しないことが合理的に確実かを判断し、その期間も含めて決定します。

    例えば、多額の違約金が発生する場合や、その資産が事業に不可欠で代替が困難な場合などは、オプションを行使(または不行使)することが「合理的に確実」と判断される可能性が高まります。この判断は企業の将来計画にも関わるため、現場部門へのヒアリングが欠かせません。

    リース料総額の算定

    リース料総額には、固定リース料のほか、以下のような変動要素やオプション価格も含まれます。

    • 指数またはレートに応じて変動するリース料:消費者物価指数(CPI)や特定の利率に連動して変動する部分。算定当初の指数やレートで計算します。
    • 残価保証:リース終了時の資産価値を借手が保証している場合、その支払見込額。
    • 購入オプションの行使価格:借手が購入オプションを行使することが合理的に確実である場合に、その行使価格。

    一方で、契約に含まれるメンテナンスサービスなどの対価(非リースコンポーネント)は、原則としてリース料から除外する必要があります。ただし、実務上の便法として、これらを分離せずにリース料に含めて一体で会計処理することも認められています。

    ステップ3 使用権資産とリース負債の計算方法

    ステップ2で算定したリース期間とリース料総額をもとに、いよいよ貸借対照表(B/S)に計上する「使用権資産」と「リース負債」の金額を計算します。ここでの鍵となるのが「割引計算」です。

    リース負債の計算

    リース負債は、未払リース料総額を「割引率」を用いて現在価値に割り引いて算定します。これは、将来にわたって支払うお金の価値を、現在の価値に換算する手続きです。

    リース負債 = 将来のリース料支払総額の現在価値

    この計算に用いる「割引率」は、原則として「貸し手の計算に含まれている利率」を使用しますが、これを借手が知ることは困難な場合がほとんどです。そのため、実務上は「借手の追加借入利子率(IBR)」を使用することが一般的です。IBRとは、借手が同様の期間、同様の担保で、使用権資産と同等の価値の資産を調達するために必要となるであろう借入の利率を指します。自社の信用力や市場の金利動向を反映して、契約ごとに個別に設定する必要があります。

    使用権資産の計算

    使用権資産は、上記で計算したリース負債の額を基礎として、いくつかの項目を調整して算定します。

    使用権資産の計算式
    計算項目
    リース負債の当初測定額
    リース開始日までに支払ったリース料(前払リース料)
    当初直接費用(仲介手数料など、リース契約締結のために追加で発生したコスト)
    リース・インセンティブ(貸し手から受領した現金など)
    使用権資産の計上額

    これらの計算は複雑であり、特に契約数が多い場合は手作業でのミスが発生しやすくなります。正確かつ効率的に計算を行うためには、計算ロジックが組み込まれた会計システムやリース資産管理システムの活用が非常に有効です。

    ステップ4 会計方針の決定と開示準備

    新リース会計基準では、企業の実態に合わせて選択適用が可能な項目がいくつか存在します。自社にとってどの方法が最適か、会計方針として明確に決定し、文書化しておく必要があります。また、財務諸表での開示(注記)内容も事前に準備を進めましょう。

    決定すべき主要な会計方針

    監査法人とも相談の上、以下の項目について自社の方針を決定します。

    • 短期リース・少額リースの免除規定:ステップ1で触れた免除規定を適用するかどうか。適用する場合、経理業務の負担は軽減されますが、その旨の開示が必要となります。
    • 非リースコンポーネントの分離:メンテナンス費用などをリース料と分離せず、一体として会計処理する実務上の便法を採用するかどうか。
    • 移行措置の選択:新基準適用初年度の会計処理をどうするか。すべてのリース契約に新基準を遡って適用する「原則法」と、適用開始日の影響額を利益剰余金に計上するなどの簡便な「修正アプローチ」から選択します。多くの企業では実務負担の少ない修正アプローチが選択される傾向にあります。

    開示(注記)の準備

    新基準では、投資家などの利害関係者が企業のリース活動の実態を理解できるよう、詳細な情報の開示が求められます。定量的情報と定性的情報の両面から準備が必要です。

    特に、使用権資産やリース負債に関する定量的な開示は複雑であり、決算期に慌てないよう、事前に必要なデータを収集・整理できる体制を整えておくことが肝心です。

    主な開示要求項目(定量的情報)
    開示項目 内容
    使用権資産 資産クラスごとの帳簿価額、期首残高から期末残高への増減調整表
    リース負債 期首残高から期末残高への増減調整表、残存期間別の返済予定額(マチュリティ分析)
    損益関連 使用権資産の減価償却費、リース負債に係る支払利息、短期・少額・変動リースの費用額
    キャッシュ・フロー関連 リースに関連するキャッシュ・アウトフローの総額

    これらの情報を正確に作成するためには、リース契約ごとの詳細なデータ管理が不可欠となります。

    ステップ5 業務フローと社内規程の見直し

    最後のステップは、新基準に沿った会計処理を継続的に、かつ正確に行うための社内体制を構築することです。新リース会計基準への対応は、一度きりのイベントではなく、恒久的な業務プロセスの変更を意味します。

    具体的には、以下のような業務フローの見直しと、それに対応する社内規程の整備が必要です。

    業務フローの見直し

    • 契約締結時のフロー:新規契約を締結する際に、現場部門がリース判定や割引率算定に必要な情報を取得し、経理部門へ連携するフローを確立します。チェックリストなどを作成すると漏れを防げます。
    • 会計処理のフロー:経理部門がリース情報を基に、使用権資産・リース負債の計上、毎月の減価償却費と支払利息の計算、仕訳起票を行う一連のプロセスを整備します。
    • 契約変更時のフロー:リース期間の延長や解約、リース料の変更などが発生した場合に、リース負債などを再測定する際の報告・処理フローを明確にします。
    • 決算・開示業務のフロー:期末の残高確認や注記情報作成のためのデータ収集・集計プロセスを定めます。

    社内規程の整備と周知

    見直した業務フローを円滑に運用するため、「リース管理規程」や「経理規程」などを改訂し、ルールを明文化します。そして最も重要なのが、関連部署への周知徹底と教育です。なぜこの情報が必要なのか、どのような手順で報告すべきなのかを丁寧に説明し、全社的な協力体制を築くことが、新基準対応を成功させるための最後の鍵となります。

    システム対応は必須?Excel管理の限界と解決策

    新リース会計基準への対応は、対象となる契約の洗い出しから複雑な計算、そして継続的な管理まで、経理部門の業務に大きな変革を迫ります。特に、管理対象となるリース契約が大幅に増加するため、従来のアナログな管理手法やExcelでの管理には限界が見え始めています。この章では、新リース会計基準がシステムに与える影響を解説し、Excel管理の課題と、リース資産管理システム導入による解決策を具体的にご紹介します。

    新リース会計基準が既存システムに与える影響

    新リース会計基準の適用により、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティング・リース契約も、原則としてすべて貸借対照表(B/S)に資産・負債として計上する必要があります。この変更は、既存の会計システムや固定資産管理システムに以下のような影響を及ぼします。

    まず、管理すべき情報量が爆発的に増加します。従来の固定資産管理システムは、ファイナンス・リースや自社所有資産の管理を前提としており、オペレーティング・リースを含めたすべてのリース契約情報を一元管理する設計になっていないケースがほとんどです。

    次に、新たな計算ロジックへの対応が必要です。使用権資産の減価償却計算やリース負債の利息計算、さらには契約内容の変更に伴う再測定など、新基準特有の複雑な計算が求められます。これらの計算ロジックを既存システムの改修で対応しようとすると、多額のコストと時間が発生する可能性があります。

    さらに、会計処理の複雑化も課題です。毎月の仕訳計上だけでなく、決算時の注記情報の作成など、開示要求に対応するためのデータ収集と加工にも多大な工数がかかるようになります。これらの影響を考慮すると、手作業や既存システムの限定的な改修だけで乗り切るのは、現実的ではないと言えるでしょう。

    リース資産管理システムの導入メリット

    Excelによる管理は手軽に始められる一方、契約件数が増えるにつれて、属人化やヒューマンエラーのリスクが飛躍的に高まります。新リース会計基準の複雑な要件に対応するためには、専用のリース資産管理システムの導入が極めて有効な選択肢となります。システム導入のメリットとExcel管理の課題を比較してみましょう。

    比較項目 リース資産管理システム Excel管理
    データ管理 契約情報の一元管理が可能。入力統制によりデータの正確性を担保。 ファイルの散在やバージョンの不整合が起きやすい。入力ミスも発生しやすい。
    計算処理 使用権資産・リース負債の計算や再測定を自動化。ヒューマンエラーを排除。 複雑な計算式を手動で設定・更新する必要があり、ミスや数式破損のリスクが高い。
    業務の属人化 業務フローが標準化され、担当者への依存を解消。 特定の担当者しかメンテナンスできず、異動や退職で業務が停滞するリスクがある。
    内部統制・監査対応 変更履歴の記録や権限設定が可能。監査に必要な資料を迅速に出力できる。 変更履歴の追跡が困難で、データの正当性を証明するのに時間がかかる。
    会計連携・開示 会計システムへの仕訳データを自動生成。注記情報の作成も効率化。 手作業での仕訳作成やデータ集計が必要で、工数がかかりミスも誘発しやすい。

    上記のように、リース資産管理システムは、単なる計算ツールにとどまりません。データの一元管理による業務標準化、計算自動化による工数削減と正確性の向上、そして監査証跡の確保による内部統制の強化など、企業経営の基盤を支える重要な役割を果たします。特に、上場企業やその子会社にとっては、信頼性の高い財務報告体制を構築する上で不可欠なツールと言えるでしょう。

    プロシップ製品で実現する効率的な基準対応

    新リース会計基準への対応を検討する際、具体的なソリューションとして多くの企業で導入実績があるのが、株式会社プロシップが提供する固定資産管理・リース資産管理システム「ProPlus」です。

    「ProPlus」は、新リース会計基準(IFRS第16号・日本基準)に完全準拠しており、基準対応に必要な機能を網羅的に提供しています。具体的には、以下のような機能によって、企業のリース会計業務を強力に支援します。

    • 契約情報の一元管理:すべてのリース契約情報をデータベースで一元管理し、契約の新規登録から変更、解約までライフサイクル全体を管理できます。
    • 複雑な計算の自動化:使用権資産とリース負債の計上額、減価償却費、支払利息などを、マスタ設定に基づいて自動計算。契約変更や重要な仮定の変更に伴う複雑な再測定計算にもボタン一つで対応します。
    • 柔軟な仕訳連携:計算結果から生成された仕訳データを、利用中の会計システムに合わせて柔軟な形式で連携させることが可能です。これにより、手入力による転記ミスを防ぎ、月次・年次決算の早期化に貢献します。
    • 豊富なレポーティング機能:会計帳簿はもちろん、決算短信や有価証券報告書に必要な注記情報など、開示要求に対応した各種レポートを標準機能で出力できます。

    Excel管理からの移行や、既存の会計システムとのスムーズな連携を前提に設計されているため、導入から運用まで安心して進めることができます。「ProPlus」のような専門性の高いシステムを活用することは、法改正への対応という守りの側面だけでなく、経理部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、より付加価値の高い業務へシフトするための攻めの投資と捉えることができるでしょう。

    まとめ

    本記事では、新リース会計基準の概要から財務・業務への影響、そして具体的な適用準備のステップについて網羅的に解説しました。新基準の最大のポイントは、原則すべてのリース契約を資産・負債として貸借対照表に計上する「オンバランス化」です。これにより、企業の財政状態や経営指標に大きな影響が及びます。

    適用準備を成功させる鍵は、記事で紹介した5つのステップを着実に実行することにあります。特に、対象となるリース契約の正確な洗い出しと、複雑な計算が求められるため、手作業での管理には限界があります。多くの契約を抱える企業ほど、Excel管理では人的ミスや業務負荷の増大といったリスクが高まることは避けられません。

    結論として、正確かつ効率的に新基準へ対応するためには、プロシップ製品のような専門のリース資産管理システムの活用が不可欠です。本記事を参考に、自社の状況に合わせた最適な準備を進め、スムーズな新基準への移行を実現してください。

    ※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします

    【PR】関連サイト

    株式会社プロシップ

    詳細情報

    〒102-0072 東京都千代田区飯田橋三丁目8番5号 住友不動産飯田橋駅前ビル 9F

    URL:https://www.proship.co.jp/

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    目次